1986年に発売された幻の名盤が、ハイパーソニック・エフェクト音響処理×ハーフスピード・マスタリングによる高精度ハイテク・アナログ盤として蘇る。古代と未来、自然とテクノロジーが同時に息づく、唯一無二の音響宇宙!
彼等が実践を積み重ねてきたブルガリアの合唱、ジャワ島のガムラン、アフリカの環境音、電子音、仏教声明など、多様な音が交わり、生と死、再生の循環を描く壮大な四部構成の“エコロジカル・シンフォニー”。
芸能山城組の創設・指揮を務める山城祥二が後に提唱した「ハイパーソニック・エフェクト」は、人間の可聴域(20kHz)を超える高周波が脳や身体に直接影響を与えるという理論。その発想の源は、『輪廻交響楽』の発売当時のアナログ盤とCDを比較した際に感じた“音の生命感の違い”にあった。彼はその後、科学的にそれを検証し、可聴域を超えた音を扱う録音・再生システムを設計し、その効果を音楽表現に実装することに成功。
今回の再発では、その理論をアナログ盤で実践するという前例のない試みが行われた。英名門アビーロード・スタジオにて、ハーフスピード・マスタリングの世界的第一人者マイルズ・ショーウェルがカッティングを担当。通常の倍の精度でラッカーを刻み、カッティング工程で一般的に使われる高周波フィルターをバイパスすることで、耳では聴こえない超高域までも刻み込むことに成功した。
日本のオーディオ文化においても山城氏は長年大きな影響力を持ち、『輪廻交響楽』のオリジナル盤は入手困難な幻の名盤として語り継がれ、オーディオ愛好家の間では音響装置を測る“リファレンス・レコード”として親しまれている。
この音楽は決してBGMではない。深く耳を澄ませ、意識を委ねたとき、音が空間を満たし、身体を通り抜ける。それは「聴く」という行為を超えた、感覚と意識の旅そのもの。
この作品を聴いて衝撃を受けた漫画家・大友克洋は、アニメ映画『AKIRA』のサウンドトラック制作を山城に依頼。『輪廻交響楽』で築かれた音響思想は、『AKIRA』のサウンドデザインと音世界の基礎となり、あの唯一無二の世界観を生み出した。
そして今、時代を超えて刻まれたその音が、再び人々の感覚を揺さぶる。